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不登校と向き合い成長していった子どもたちの物語 1 高校へ行かずに医学部合格を果たしたN君

N君は、中学卒業と同時に働き始めた。

「特にやりたいこともないのなら、高校に行く必要はない」

という父親の考え方だった。

だから、厳密に言うと、N君は不登校ではない。

高校入試を受ける前に進学をあきらめてしまったのだから。

 

2年間くらい働いて、同級生が大学受験に差し掛かるころ、

N君の気持ちに変化が起きた。

将来なりたい職業がみつかったのだ。

 

しばらく一人で問題集を買って勉強していたが、

解答を見てもどうしてそうなるのかわからないので、

父親に塾に通わせてほしいとお願いした。

「仕事に支障のない範囲内なら」

ということで許可が出て、

N君はやってきた。

なぜアート英語学苑を選んだかというと、

個別指導で時間の融通がきいたから。

 

英語は中1の教科書に戻ってやり直した。

N君がえらかったのは、

言われたことはすべて素直に実行したことと、

自分を卑下したり周囲と比較したりして、

落ち込んだりしなかったことだ。

 

淡々とやることをこなしていった。

 

まずは、高卒資格を取るところからスタート。

大学は「国立しかダメ」との家の方針で、

医学部志望だったので、

5教科7科目、すべて手をぬかずにやった。

 

高卒資格が取れてから、

2回受験したが、点数が足りなくて浪人(初めから浪人みたいなものだったが)。

何年かアルバイトしてお金もたまっていたので、

高卒資格が取れてからは仕事をやめて勉強に専念。

 

3年目に何とか足切りにかからず、

面接まで進むことができた。

 

面接では、一人15分ほど時間をとるのが普通だが、

N君は、順番を最後に回され、1時間とってくれたそうだ。

冒頭、面接担当の先生が、

「君は経歴が特殊なので、じっくり話を聞きたいと思って最後にしました」

と言ってくださったそうだ。

 

なぜ、医学部に行きたいと思ったか、

中卒で働きながらどうやって勉強をしてきたか、

思いのたけをぶつけ、

見事、合格。

17歳から勉強をはじめたN君は、

22歳になっていた。

 

勉強はいつからでもできる。

だけど、一朝一夕にできるわけではない。

学校に通えば、授業もあるし、テストもあるし、

模試や補修など、

いろいろなサポートが受けられる。

同じような志望の生徒が周りにいれば、

ちょっと落ち込んだり、やる気がなくなっても、

いつの間にか立ち直るチャンスがいっぱいある。

 

だけど、一人ではそういうわけにはいかない。

 

自分から「助けてください」と言わないと、

誰も助けてくれないし、

いったん、高校へ行かないと決めたら、

その後の進路はすべて自分で選んでいかないと、

自動的にやることが与えられるわけではない。

 

ただ、学校へ行かなかったからこそ、

自分の意志の力を試される経験ができて、

強い人間になれたという面もある。

 

不登校を選んだ人たちは、

ぜひ、自分の人生を自分で設計するチャンスが与えられたと思って、

やりたいことにぶつかっていってほしい。

 

勉強で困ったことがあったら、

ぜひ、「助けて」と相談してください。

 

アート英語学苑

海住さつきでした。

 

 

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