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不登校と向き合い成長していった子どもたちの物語  4 大学合格後不登校になったRさん

Rさんは、将来なりたい職業がはっきりしていて、

それに向かって着々と準備をすすめ、

見事、推薦入試で志望大学に合格した。

10月だった。

担任の先生からは、

「周りのみんなはこれから本番だから、あまりウキウキしないでね。

卒業式の準備とか、いろいろ頼むね」

と言われ、バラ色の人生が待っていたはずだった。

 

「合格しました」の報告の後、

塾には3週間来なかったが、

合格したのだから当たり前と、

全く気に留めていなかった。

 

が、しかし、

 

3週間たってお母さんに連れられてやってきたRさんは、

見違えるほど憔悴し、

最初、誰だかわからなかったほどだった。

髪は乱れ、身なりにも構わず、

この3週間家から一歩も出ませんでしたというオーラが漂っていた。

 

そして、事実、3週間、

学校へ行っていないという。

 

話を聞くと、

志望校に合格した後、

「こんな私でついていけるのか」

「推薦で受かった私は一般受験して入ってくるほかの人よりも劣っているのでは」

「合格取り消しして一般受験しなおしたほうがいいのでは」

などと、

とめどなくネガティブな考えがあふれ出し、

怖くて家から一歩も出られなくなってしまったのだという。

 

塾に現れたのは、

「これから一般受験の勉強して合格に間に合うでしょうか」

という相談だった。

 

推薦で受かったけど、

やっぱり他の大学に行きたいから合格やめるというのは時々あるけど、

同じ大学の同じ学部の合格をいったん取り消してまた受けなおすなんて、

意味がわからない。

 

完全にうつ状態だった。

 

その日はとりあえず、

一般受験したいのなら手伝うけれども、

推薦で合格した生徒には、

大学から事前課題がいろいろ送られてきて、

それをちゃんとやれば結構忙しいし、一般入試の人に遅れる心配もないから、

まずそちらをやったらどうですかという話をして終わった。

 

しばらく音沙汰がなかったので、

どうしているかな~と思っていたら、

さらに三週間後、今度は本人、お母さん、おばあさんの3人でやってきた。

 

驚いたのは、

本人がうつ状態なのは同じだったが、

お母さんまでうつ状態になっていたことだった。

 

全くおしゃれをせず、化粧っ気もなく、

肌が荒れていて、暗いオーラが出ていた。

 

おばあさんによると、

「娘といっしょにいろいろ考えていたら、

母親までうつになってしまったんです」

 

「娘がこんなになってしまったのは、私のせいでしょうか」

みたいな話を延々とされ、

明日にでも大学に電話して合格を取り消すくらいの勢いだったので、

やめるのはいつでもやめられるし、

一般受験するにしても、

滑り止めはどこか確保するのだから、

この大学を滑り止め的な保険としておさえておいたらどうですかという話をして、

何とかおさまった。

 

そして、さらに3週間後。

この日が一番驚いたのだが、

何と、

本人、お母さんに加え、おばあさんまでうつ状態になってしまっていた。

こういう遺伝はあるのかと心底びっくりしたが、

3人とも、同じ感じのネガティブオーラ全開で、

何を話していても「もうだめです」という無限ループになってしまう。

この日はどういう結論になってお帰りになったのか、覚えていないのだが、

とにかく、

3人が同じバイオリズムで落ち込むので、

うつの強さも3倍になっているようだった。

 

うつ状態で受験勉強も手につかず、

受けても落ちることは目に見えていたため、

一般受験はせず、

結局、Rさんは推薦で受かった大学に進学した。

大学はふつうに通って、

国家試験も受けて晴れてなりたい職業につけたという。

めでたしめでたし。

 

Rさんには弟がいて、

弟から聞いた話によると、

「ボクとお父さんは大丈夫だったけど、家族の女性全員にうつ状態がうつった」。

 

悩みがちな家族がうつ状態の時にいろいろ言ってきたらどうする?

 

「とりあえず保留して何もしない」

 

状態が悪い時に考えたことはたいてい本人の望む結果にはならないので、

状態がよくなる時を待って、再度、検討する。

そうしないと、マジで選択謝るから。

 

こんなパターンの不登校もあります。

いい結果が出て落ち込むというのもあるんです。

 

調子が悪い時は、悪い波が去るまで待つのも大事。

 

アート英語学苑

海住さつきでした。

 

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